遺言・遺産相続の弁護士コラム

夫が亡くなったときにやるべきことは?妻はいくら相続できる?

相続手続

夫が亡くなった場合、役所への届出や相続関係の対応など、行うべきことは少なくありません。
しかし、大切な方を失い、最初は何をすればいいのか戸惑ってしまう方も多いでしょう。

そこで本記事では、夫が亡くなったあとにやるべき手続をまとめてご紹介します。
ほかにも、夫が亡くなった場合の妻の相続割合や、相続関係の相談窓口などについても解説していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

この記事でわかること
  1. 夫が亡くなったあとにやるべき手続
  2. 夫が亡くなったときに妻が相続できる割合
  3. 夫が亡くなったときの相続関係の相談先

夫が亡くなったあと、49日以内にやるべき手続

夫が亡くなったあとに、対応すべき手続を期限の早い順番に挙げると以下のようになります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

  1. 社会保険の資格喪失届出
  2. 死亡届出と火葬許可申請書の提出
  3. 年金受給の停止
  4. 国民健康保険の資格喪失手続
  5. 介護保険の資格喪失手続
  6. 世帯主の変更

①社会保険の資格喪失届出(5日以内)

夫が会社員や公務員である場合、夫が亡くなったあと、まず行うべきは社会保険の資格喪失届出です。ただし、この手続は、夫の勤務先の会社が行ってくれることが多いでしょう。
夫が亡くなったら、すぐに勤務先に連絡をとり、保険証など必要な書類を提出しましょう。

②死亡届出と火葬許可申請書の提出(7日以内)

次に重要なのは死亡届出と火葬許可申請書の提出です。死亡届は医師が作成する死亡診断書とセットで、役所に提出します。死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。
同時に火葬許可申請書も提出し、火葬許可証を受け取ります。この手続は葬儀社が代行することが多いですが、自分で行う場合もあります。
火葬許可証がないと火葬ができませんので、忘れずに手続を行いましょう。

③年金受給の停止(10日または14日以内)

年金を受給していた場合、受給の停止手続を行います。国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に年金事務所に連絡し、必要な書類を提出します。書類には年金受給権者死亡届や故人の年金証書、死亡診断書のコピーが含まれます。
この手続をしないと、年金が不正に支給されてしまう可能性があるため、速やかに行うことが大切です。

④国民健康保険の資格喪失手続(14日以内)

夫が自営業などで国民健康保険に加入していた場合には、国民健康保険に関する届出が必要です。
市区町村の役場に、国民健康保険資格喪失届を提出し、保険証の返却などをあわせて行います。

⑤介護保険の資格喪失手続(14日以内)

介護保険を利用していた場合、資格喪失手続を行います。65歳以上の第1号被保険者や40歳以上65歳未満で介護認定を受けていた第2号被保険者が対象です。この手続は死亡後14日以内に市区町村の役場で行います。介護保険料は月割りで再計算され、過不足がある場合は相続人に通知が届きます。
還付金がある場合は返金手続を行い、不足分がある場合は納付します。

⑥世帯主の変更(14日以内)

世帯主が亡くなった場合、新しい世帯主を決める必要があります。世帯主変更届を市区町村の役場に提出し、登録変更を行います。この手続は14日以内に行わなければなりません。必要書類は住民異動届と本人確認書類です。

たとえば、夫婦二人の世帯で夫が亡くなった場合、妻が世帯主となりますが、新しい世帯主が誰になるかが明確な場合は届出が不要なこともあります。手続が必要か明確でない場合は、役場に相談しましょう。

夫が亡くなったあとの相続に関する手続

夫が亡くなったあとには、以下のような相続関係の手続も必要になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

  1. 相続人・相続財産の調査
  2. 遺言書の調査・検認・執行
  3. 銀行や土地などの名義変更
  4. 相続放棄(3ヵ月以内)
  5. 故人の所得税の準確定申告(4ヵ月以内)
  6. 相続税の申告(10ヵ月以内)
  7. 遺留分侵害額請求(1年以内)
  8. 相続登記(3年以内)
  9. 遺族年金・未支給年金の請求(5年以内)

①相続人・相続財産の調査

夫が亡くなったあと、まず行うべきは相続人と相続財産の調査です。相続人は法定相続人と呼ばれる親族が対象です。財産には現金、預貯金、不動産、株式などが含まれます。相続財産をリストアップし、相続税の申告や相続分割協議に備えましょう。
なお、この調査は一般の方が見よう見まねで行うより、弁護士などのサポートを受けて行ったほうがいいでしょう。もし漏れがあると、のちのちの相続手続に影響をおよぼす可能性があるからです。

②遺言書の調査・検認・執行

次に、遺言書があるかどうかを確認します。遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所で検認手続を行います。検認とは、遺言書の存在と内容を確認する手続です。
検認後、遺言の内容に従って遺産を分配します。遺言書が公正証書で作成されている場合は、検認手続は不要です。
遺言書がない場合は、法定相続分に基づいて遺産を分配します(遺産分割協議により、法定相続分と異なる割合で遺産を分配することも可能です)。

③銀行や土地などの名義変更

相続財産の名義変更も重要です。銀行口座、不動産、自動車などの名義を相続人に変更します。銀行口座の場合、死亡届と遺産分割協議書などを提出し、手続を行います。不動産の名義変更は、司法書士に依頼することが一般的です。
この手続を行わないと、相続財産を自由に使えないため、速やかに進める必要があります。

④相続放棄(3ヵ月以内)

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続しないことです。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に申請します。この手続は、相続の開始を知った日から3ヵ月以内に行う必要があります。
なお、相続放棄をする場合、相続したとみなされるような行為をすることはできません。
そのため、遺産分割協議や財産の名義変更など、相続することを前提とした行為は一切しないようにしましょう。

相続放棄は故人の負債が多い場合に有効ですが、プラスの財産も含めて一切相続できないなどのデメリットもあるため、必ず弁護士などに相談してから手続を行うようにしましょう。

⑤故人の所得税の準確定申告(4ヵ月以内)

故人の所得税の準確定申告を行います。この手続は、故人が亡くなったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に行う必要があります。具体的には、故人が生前に得た収入について税務署に報告し、必要な税金を納めます。
この手続を行わないと、税務署から追加の税金を請求される可能性があるため、税理士などに依頼をして、期限内に行うべきです。

⑥相続税の申告(10ヵ月以内)

相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に行います。
簡単な流れとしては、相続財産の評価、評価額をもとに相続税を計算、税務署への申告、といった順に対応します。
ただし、申告には多くの書類が必要で、計算や申告書の作成も非常に複雑です。そのため、手間をかけずに、かつ正確に申告をしたい場合には、税理士などの専門家に依頼することを検討すべきでしょう。

⑦遺留分侵害額請求(1年以内)

遺留分侵害額請求は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内に行います。

そもそも遺留分とは、法定相続人が最低限受け取る権利のことです。この遺留分が、侵害されている場合、交渉または裁判所の手続を通じて遺留分侵害額請求を行なうことができます。
たとえば、特定の相続人がすべての財産を相続するという不平等な内容の遺言書があった場合などです。そして無事に手続が認められたら、遺留分にあたる財産を受け取ることできます。

ただし、遺留分侵害額請求には詳しい法律知識が必要とされる関係上、弁護士に依頼して行うことが一般的です。

⑧相続登記(3年以内)

不動産の相続登記は、原則として不動産を相続で取得したことを知った日または遺産分割協議の成立日から3年以内に行います。
2024年4月1日から義務化され、過去の相続分も義務化の対象です。
義務化前に発生した相続は、原則として不動産を相続で取得したことを知った日、または2024年4月1日(施行日)のどちらか遅い日から3年以内に行います。

正当な理由がないにもかかわらず、相続登記をしない場合、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。さらに、不動産の名義が故人のままになることで、売却をしたり、担保に入れたりすることができません。
登記を行うことで、不動産の権利関係が公に認められることになるため、自身の目的に合わせて不動産を利用できるようになります。

⑨遺族年金・未支給年金の請求(5年以内)

遺族年金や未支給年金の請求も重要です。
遺族年金は、故人の年金を受け取る権利がある配偶者や子どもに支給されるお金のことです。生計を維持していた人が亡くなった翌日から5年以内が原則的な請求期限です。

一方、未支給年金は、故人が生前に受け取るはずだった年金を指します。故人の年金が支払われた日の翌月の初日から5年以内が請求期限です。
年金事務所に必要書類を提出し、請求手続を行うことで、遺族の方は経済的な支援を受けられるようになります。

夫が亡くなったあとのその他の手続

そのほかにも、以下のような細かい手続も必要になるため、忘れずに行なうようにしましょう。

  • 生命保険の請求
  • クレジットカードの解約
  • 携帯電話の解約
  • 免許証の返納
  • 公共料金の名義変更 など

これらの手続を放置していると、無駄にお金がかかって損をしたり、手続を行うように通知がきたりする可能性があります。

夫が亡くなったとき、妻はいくら相続できる?

夫が亡くなったとき、その後の生活に不安を感じる方も多いでしょう。
もし相続する遺産があったとしても、必ずしも配偶者(妻)がすべて受け取れるとは限りません。
夫が亡くなった際、妻が相続する財産の割合は「法定相続分」と「遺留分」によって決まります。

ここでは、夫の遺産を妻が相続できる割合について詳しく見ていきます。

妻の法定相続分

法定相続分とは、法律で定められた相続の割合のことです。妻の法定相続分は、ほかの相続人の有無によって異なります。
たとえば、子どもがいる場合、妻の相続分は全体の1/2です。
一方で、子どもがいないかつ夫に父母がいる場合は、妻の相続分が全財産の2/3になります。具体例を挙げると、夫の財産が1,000万円で子どもがいる場合、妻は500万円を相続します。

妻の遺留分

遺留分とは、法定相続人が最低限受け取る権利のことを指します。遺留分は法定相続分の半分にあたります。
たとえば、法定相続分が1/2の場合、遺留分は1/4です。もし遺言書で遺留分が侵害されている場合、妻は遺留分侵害額請求という手続を通じて権利を主張できます。
さらに具体例を挙げると、夫の財産が1,000万円で遺留分が1/4の場合、妻は250万円を請求できます。これにより、妻は最低限の相続分を確保できます。

夫が亡くなったら、相続のことはどこに相談する?

相続関係の手続は複雑で、その種類も多岐にわたります。
そこで、相続関係の悩みについての相談先を以下のようにまとめました。
詳しく見ていきましょう。

  • 市役所などの相談窓口
  • 税理士
  • 司法書士
  • 弁護士

市役所などの相談窓口

市役所には相続や遺産整理に関する相談窓口があります。ここでは基本的な手続や必要書類のアドバイスを受けることができます。多くの場合、無料で利用できます。

税理士

相続税や所得税の申告については、税理士に相談するのがおすすめです。
税理士は相続税の計算や申告書の作成を代行してくれます。相続税の申告は非常に複雑で専門的な知識が必要となりますが、税理士に相談することで、正確な申告と節税対策が可能になります。

司法書士

不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成には、司法書士が役立ちます。
司法書士は、主に相続登記や遺産分割の手続をサポートしてくれます。特に不動産の名義変更は手続が複雑なため、司法書士に依頼することでスムーズに進めることができます。

弁護士

遺産分割や相続放棄など法律的な問題が発生した場合は、弁護士に相談します。
弁護士は、主に相続に関するトラブルの解決や遺言書の執行をサポートしてくれます。遺留分侵害額請求などの手続も、弁護士に依頼することで適切な対応が可能になります。

相続でご不安がある方はアディーレへ

夫が亡くなった場合、行うべき手続のなかには期限が設定されているものもあります。
ご説明したように、49日以内に行う手続などもあるため計画的に対応しなければいけませんが、煩雑で数も多いため、漏れてしまうこともあるでしょう。

そこでアディーレでは、主な相続関係の手続をまとめてお受けするプランをご用意しています。
個別に依頼する手間がかかりませんし、相続関係の手続に慣れた弁護士が代わりに対応するため、手続の漏れを心配する必要もありません。
またアディーレには、弁護士だけでなく、税理士や司法書士も在籍しているため、手続ごとに別々の専門家を探す手間がかかりません。アディーレという窓口ひとつで、相続に必要な手続をすべて完結させることができるのです。

遺言・遺産相続に関するご相談は何度でも無料ですので、まずは一度お問合せください。

橋 優介
この記事の監修者
弁護士
橋 優介
資格
弁護士、2級FP技能士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部

弁護士の職務として特に重要なことは、「依頼者の方を当人の抱える法的問題から解放すること」であると考えています。弁護士にご依頼いただければ、裁判関係の対応や相手方との交渉などは基本的にすべて弁護士に任せられます。私は、弁護士として、皆さまが法的な心配をせず日常生活を送れるように、陰ながらサポートできる存在でありたいと考えています。

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