遺言・遺産相続の弁護士コラム

【2026年4月開始】住所変更登記が義務化!期限や罰則、「スマート変更登記」についても解説

「引越しをしたけれど、登記の変更は面倒そうだな」と、手続を先送りにしてしまっている不動産の所有者の方。2026年4月から始まった住所変更登記の義務化により、放置している方には罰則が適用される可能性があります。

そこで本記事では、義務化の期限や罰則、自分で申請する際の手順や費用について、初めて手続する方にもわかりやすくご説明します。また、2026年4月から利用できるようになった「スマート変更登記」についても合わせて解説いたします。

この記事でわかること
  1. 住所変更登記の義務化と申請期限や罰則内容
  2. 自分で登記申請を行う際の手順と費用の目安
  3. 複数回の引越し時の対処法と便利な最新制度
目次
  1. そもそも不動産の住所変更登記とは?
  2. 住所変更登記の義務化
    1. 申請期限は変更の発生から2年以内
    2. 施行前の引越しや結婚による変更も義務化の対象
    3. 「正当な理由」なく放置した場合には罰則がある
    4. 「正当な理由」とは?
  3. 住所変更登記を自分で行う手順
    1. ①登記事項証明書で登記上の住所を確認する
    2. ②必要書類(住民票・戸籍の附票)を取得する
    3. ③登記申請書を作成する
    4. ④法務局の窓口に提出、郵送・オンラインで申請する
    5. ⑤登記完了証を受領する
  4. 住所変更登記にかかる費用
    1. 登録免許税
    2. 住民票や戸籍附票などの書類取得費用や通信費
    3. 司法書士に依頼する場合の報酬
  5. 複数回の引越しで住所が繋がらないときの対処法
    1. 戸籍の附票で住所の変遷を証明する
    2. 保存期間経過で書類が発行されない場合の対応
  6. 手続を効率化できる新制度とツール
    1. ①「かんたん登記申請」
    2. ②「スマート変更登記」
  7. 住所変更登記に関してよくある質問
    1. 忙しくて法務局に行けません。家族が代理で住所変更登記を行えますか?
    2. 住所変更登記に使う住民票の有効期限や、発行時期に決まりはありますか?
    3. 引越し先が遠方です。住所変更登記は最寄りの法務局で手続できますか?
    4. 住所変更登記の義務化後は、法務局が自動で情報を更新してくれますか?
  8. まとめ

そもそも不動産の住所変更登記とは?

不動産の住所変更登記とは、不動産の所有者の住所が変わった際に行う住所変更手続のことです。

不動産の所有者に関する情報は、法務局が管理している「登記記録」に記録されており、住所と氏名で所有者を特定します。もし、登記記録上の住所・氏名と現在の住民票に記されている住所・氏名が一部でも異なれば、同一人物とは認めてもらえません。

このようなことから、不動産の登記簿に登録されている所有者の住所が変わった場合には、基本的には住所変更登記を法務局に申請することが必要です。 しかし、登記をするか否かは所有者にゆだねられてきたため、所有者不明土地(所有者が直ちに判明しなかったり、所有者の所在が不明で連絡が取れなかったりする土地)が増加してしまいました。

住所変更登記の義務化

所有者不明土地の増加を背景とした法改正により、2026年4月から、不動産の所有者の方の住所変更登記が法律上の義務となりました。
また、結婚などで氏名が変わった場合には、氏名変更登記の申請が必要です。

申請期限は変更の発生から2年以内

不動産の所有者は、引越しなどで住所が変わった場合、住所・氏名が変わった日から2年以内に申請を行わなければなりません(不動産登記法第76条の5)。この期限を過ぎてしまうと、法律違反の状態となってしまうため注意しましょう。

施行前の引越しや結婚による変更も義務化の対象

今回の義務化で特に注意すべきなのは、2026年4月の施行より前に住所が変わっているケースです。
法律が新しくなる前の出来事であっても、現在登記されている住所と現住所が異なっている場合は、原則としてすべて義務化の対象に含まれますこの場合の申請期限は、施行日から2年以内(令和10年3月31日まで)です。

「昔の引越しだから大丈夫だろう」と油断していると、知らないうちに義務違反になってしまうことがあるため、注意しましょう。また、過去に何度か引越しを繰り返している方は、現在の住民票だけで住所のつながりが証明できないこともあるため、早めに書類の準備を進めておくことをおすすめします。

「正当な理由」なく放置した場合には罰則がある

住所変更の登記を正当な理由がないにもかかわらず放置した場合には、5万円以下の過料が科される可能性があります(同法第164条第2項)これは行政上のペナルティであり、義務化の実効性を高めるために設けられた措置です。「忙しくて忘れていた」という程度の理由では正当な理由として認められない可能性が高いため、早めの対応が求められます。

「正当な理由」とは?

「正当な理由」としては、住所変更登記をすべき人が重病で動けなかったり大規模な災害にあったりした場合などが挙げられます。
なお、正当な理由として認めてもらうには、証明するための資料や証拠などを提出する必要があります。

住所変更登記を自分で行う手順

住所変更登記は、必要な書類を揃えて正確に申請書を作成すれば、不動産の所有者の方ご自身で手続を行うことが可能です。ぜひ手続の全体像を把握しておきましょう。

<住所変更登記をご自身で行う場合の手順>

①登記事項証明書で登記上の住所を確認する

②必要書類(住民票・戸籍の附票)を取得する

③登記申請書を作成する

④法務局の窓口・郵送・オンラインで申請する

⑤登記完了証を受領する

①登記事項証明書で登記上の住所を確認する

手続を始める前に、現在の不動産の登記内容がどうなっているか、正確な情報を登記事項証明書(登記簿謄本」で確認します。自分の記憶にある住所と、実際に登記簿に登録されている住所が完全に一致しているとは限らないからです。特に、過去に一度も住所変更をしていない場合、数世代前の住所がそのまま残っていることもあり得ます。

登記事項証明書は、お近くの法務局の窓口で取得できるほか、オンラインで請求して郵送してもらうことも可能です。まずは登記事項証明書を手元に用意して、現在の住民票の住所と違う箇所があるかを把握しましょう。

②必要書類(住民票・戸籍の附票)を取得する

住所変更を証明するためには、登記簿上の住所から現在の住所までの移り変わりがわかる書類を用意しなければなりません。基本的には住民票の写しを1通用意すれば足りますが、この方法は、一度の引越しで住所が変わった場合に限ります。もし複数回の引越しを経て現在の住所に至っている場合は、住所の変遷がすべて記載されている戸籍の附票という書類が必要になるケースが多いです。
これらの書類は、各市区町村の役所で取得できます。最近ではマイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアで取得できる自治体も増えているため、役所の窓口に行く時間が取れない方は活用を検討してみてください。

③登記申請書を作成する

書類が揃ったら、法務局に提出するための「登記申請書」を作成します。

<登記申請書の記載事項>

  • 不動産の表示
  • 申請人の現在の住所・氏名
  • 変更の理由

など

法務局のWebサイトには、住所変更登記のための申請書様式と記載例が公開されているため、これをお手本に作成するとよいでしょう。文字の間違いや記入漏れがあると、あとで修正の手間が発生してしまうため、一字一句丁寧に記入するようにしてください。特に、不動産の表示部分は登記事項証明書に記載されているとおりに正確に写す必要があります。もし書き方がわからない場合には、法務局が実施している登記相談(予約制)を利用して確認することもおすすめです。

④法務局の窓口に提出、郵送・オンラインで申請する

申請書の準備ができたら、不動産を管轄する法務局へ提出します。提出方法は、直接窓口へ持参するほか、書留郵便などで郵送することも可能です。平日に法務局へ行くのが難しい方には、インターネットを利用したオンライン申請という選択肢もあります。ただし、オンライン申請にはマイナンバーカードやICカードリーダーなどの環境整備が必要です。
ご自身のライフスタイルに合わせて、より負担の少ない方法を選びましょう。郵送の場合は、返信用封筒を同封しておくことで、完了後の書類も自宅で受け取れるようになります。

⑤登記完了証を受領する

申請書が受理され、法務局での審査に問題がなければ、通常1週間から10日ほどで登記が完了します。手続が終わると、その証明として「登記完了証」が発行されます。これは、登記が正しく書き換えられたことを通知する大切な書類ですので、大切に保管しておきましょう。窓口で申請した場合は窓口で受け取り、郵送やオンラインで申請した場合は、あらかじめ指定した方法で受け取ることになります。この書類を受け取った時点で、住所変更の手続はすべて終了となります。万が一、内容に誤りがある場合は速やかに法務局へ連絡し、修正の依頼を行うようにしてください。

住所変更登記にかかる費用

住所変更登記を自分で行う場合にかかる主な費用は下記です。

<住所変更登記にかかる主な費用の内訳>

  • 国に納める税金
  • 役所で書類を集めるための手数料
  • 法務局までの交通費や郵送代

など

手続を専門家に依頼する場合には、これに加えて専門家に支払う報酬が発生します。

自分で申請するか、それとも時間を優先して専門家に依頼するかを判断するためにも、費用の全体像を把握しておくことは非常に重要です。

費用項目自己申請の場合専門家に依頼する場合備考
登録免許税不動産1個につき
1,000円
不動産1個につき
1,000円
土地1筆、建物1棟なら計2,000円2
書類取得費1通300円前後1通300円前後 + 取得代行料住民票や戸籍の附票など1
通信・交通費実費(往復交通費、郵送代)実費法務局へのアクセス費用1
司法書士の報酬0円10,000円 ~ 20,000円程度事務所や物件数により変動2
合計(目安)1,500円 ~ 4,000円15,000円 ~ 30,000円物件が複数の場合は加算2

登録免許税

登記を申請する際には「登録免許税」という税金を納める必要があります。住所変更登記の場合、その金額は不動産1個につき1,000円と決められています。たとえば、土地が1筆と建物が1棟ある場合は、合計で2,000円となります。マンションの場合は、住戸(専有部分)と敷地権(土地の持ち分)がそれぞれ数えられるため、事前に登記事項証明書で不動産の数を確認しておく必要があります。
登録免許税は、収入印紙を申請書に貼り付けて納めるのが一般的です。数万円単位の税金がかかる売却や相続の登記に比べれば、住所変更の税金はかなり低めに抑えられているといえます。

住民票や戸籍附票などの書類取得費用や通信費

手続に欠かせない証明書類の取得にも、数百円程度の手数料がかかります。住民票の写しや戸籍の附票は、1通あたり300円前後で発行される自治体が多いです。引越しの回数が1回であれば1通で済みますが、複数回の引越しを経ており、一つの役所ですべての履歴が証明できない場合は、以前住んでいた自治体からも書類を取り寄せる必要があります。郵送で取り寄せる場合は、書類代に加えて返信用の切手代や定額小為替の手数料も加算されます。合計しても数千円以内に収まることがほとんどですが、あらかじめ必要な通数を確認して、効率よく集めるのがコストを抑えるコツです。

司法書士に依頼する場合の報酬

仕事が忙しくて書類集めや申請書の作成が難しい場合は、登記の専門家である司法書士に依頼することになります。司法書士に依頼した場合の報酬は、司法書士事務所や物件の数にもよりますが、一般的には1万円から2万円程度が相場とされています。

複数回の引越しで住所が繋がらないときの対処法

登記手続では、住所の変遷が一つなぎになっていなければ受理されません。

では、過去に何度も引越しを繰り返したり、引っ越してから長い期間が過ぎていたりして、住所の変遷を証明できる資料が取得できない場合にはどうしたらいいのでしょうか? ここでは、住所の繋がりを証明するための方法や、書類の保存期間が過ぎてしまった場合の対応について解説します。

戸籍の附票で住所の変遷を証明する

住民票には通常、現在の住所の一つ前の住所までしか記載されません。そのため、2回以上の引越しをしている場合は戸籍の附票を取得するとよいでしょう。戸籍の附票とは、その戸籍に入っている間の住所の移り変わりをすべて記録した書類で、本籍地の役所で取得できます。結婚などで本籍を変えていなければ、過去数回分の引越し履歴が一枚の書類で証明できるため、何度も住民票を取り直す手間が省けます。住所が繋がらないと焦る前に、まずはご自身の本籍地を確認し、戸籍の附票でどこまでの履歴がカバーされているかをチェックしてみることをおすすめします。

保存期間経過で書類が発行されない場合の対応

役所の住民票や戸籍附票は保存期間が決まっており、転出してから一定期間(多くは5年または15年)が過ぎると、データが破棄されて「不在住証明書」や「廃棄済証明書」しか発行されないことがあります。
この場合、代替手段として、不動産の「権利証(登記済証)」や「登記識別情報通知」のコピーを提出したり、法務局が指定する「上申書」を作成して実印を押したりすることで、本人確認を補完します。書類が揃わないからといって義務違反になるわけではありませんが、手続が少し複雑になるため、早めに法務局や司法書士などの専門家に相談するのが賢明です。

手続を効率化できる新制度とツール

2026年4月の住所変更登記の義務化に合わせて、国民の負担を軽減するための新しい仕組みや便利なツールが整備されました。これから登記を検討している方は、これらの最新システムを利用により負担が軽減されることが期待できます。

①「かんたん登記申請」

「かんたん登記申請」は、従来の複雑な専用ソフトを使わず、Webブラウザ上で必要事項を入力するだけで申請ができる仕組みです。

【必要なもの】

  • パソコン
  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダーまたはスマートフォン
  • マイナポータルAPおよびマイナポータルアプリ(ICカードリーダー用)
  • スマートフォン版マイナポータルアプリ(スマートフォン用)
  • 登記事項証明書などの必要書類

など

画面の指示に従って住所や氏名を入力し、マイナンバーカードで電子署名を行うことで、紙の申請書を作成する手間を省くことができます。
また、デジタルに不慣れな方でも操作しやすいよう設計されているため、義務化を機に初めて登記に挑戦する方にとっては、非常に心強い味方となるはずです。

②「スマート変更登記」

「スマート変更登記」は、法務局が他の行政機関(住民基本台帳など)と連携し、住所変更を検知して自動的に登記情報を更新する仕組みです。
この制度によって、引越し時に役所へ転居届を出すだけで、法務局へ申請せずとも登記が書き換わるようになります。ただし、この制度を利用するには、あらかじめ本人の同意が必要であるなど一定の条件があります。
現在はまだ移行期間の側面もありますが、将来的には「何もしなくていい登記」が当たり前になる可能性を秘めており、今後の動向に注目が集まっています。

住所変更登記に関してよくある質問

忙しくて法務局に行けません。家族が代理で住所変更登記を行えますか?

はい、ご家族などの代理人でも申請可能です。住所変更登記を自分以外の代理人に依頼する場合、登記申請書と合わせて委任状の提出が必要になります。委任状には特に決まった形式はありませんが、誰が誰に何の権限を委任したのかを明記し、委任者本人が署名・押印する必要があります。ご本人の来庁が難しい場合は、早めに信頼できる方へ委任するか、登記の専門家である司法書士への相談をご検討ください。

住所変更登記に使う住民票の有効期限や、発行時期に決まりはありますか?

いいえ、法務局へ提出する住民票や戸籍の附票に、法律上の有効期限(3ヵ月以内など)は特に定められていません
住所変更登記の必要書類として重要なのは「登記簿上の住所から現在まで繋がっていること」の証明ですので、取得から3ヵ月以上経過していても、記載されている住所が現在の登記簿上の住所と一致していれば使用可能です。ただし、基本的には最新の状態が反映されたものを用意するのがおすすめです。

引越し先が遠方です。住所変更登記は最寄りの法務局で手続できますか?

いいえ、住所変更登記は「不動産を管轄する法務局」で行う必要があります。現在の住まいの近くにある法務局では受け付けてもらえないため注意しましょう。
もし管轄がわからない場合には、法務局のWebサイトで不動産の所在地から検索できます。
また、窓口まで行くのが大変な場合は、書留郵便での郵送申請や、マイナンバーカードを利用したオンライン申請も可能です。ご自身の状況に合わせた最適な提出方法を選びましょう。

住所変更登記の義務化後は、法務局が自動で情報を更新してくれますか?

いいえ、原則として、ご自身での申請が必要です
なお、今後は、法務局が住民基本台帳と連携し、登記官が「職権」で情報を更新する仕組みである「スマート変更登記」 に基づき、法務局で自動で住所等の情報が更新されることになると見込まれます。この制度の利用には「検索用情報の申出」が必要ですので、忘れずにしておきましょう。

まとめ

2026年4月から始まった住所変更登記の義務化では、変更から2年以内の申請が必須となり、正当な理由のない放置には過料が科されます。過去の引越しも対象となるため、早めに登記事項証明書を確認し、住民票や戸籍の附票を揃えて手続を進めましょう。オンライン申請などの新制度を活用すれば、手間を抑えて義務を果たすことが可能です。 もし、複数回の引越しで書類を揃えるのが難しかったり、手続に不安があったりする場合は、早めに法務局に問い合わせたり、司法書士などに相談したりすることをご検討ください。

橋 優介
この記事の監修者
弁護士
橋 優介
資格
弁護士、2級FP技能士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部

弁護士の職務として特に重要なことは、「依頼者の方を当人の抱える法的問題から解放すること」であると考えています。弁護士にご依頼いただければ、裁判関係の対応や相手方との交渉などは基本的にすべて弁護士に任せられます。私は、弁護士として、皆さまが法的な心配をせず日常生活を送れるように、陰ながらサポートできる存在でありたいと考えています。

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