遺言・遺産相続の弁護士コラム

相続放棄は弁護士に依頼すべき?メリットや司法書士との違いを解説

相続放棄・限定承認

相続が発生したとき、故人に借金があった場合、多くの方が「相続放棄」を検討されると思います。
しかし、相続放棄の手続は複雑であり、期限内に正確に行なわないと手続が認められない可能性もあるため、「弁護士に手続を任せようかな」とお考えの方も多いでしょう。

本記事では、相続放棄を弁護士に依頼するメリットや、依頼すべき弁護士の特徴、弁護士と司法書士ではどちらが適しているか、などについて解説します。
相続放棄の手続をスムーズに進めるためにも、ぜひ参考になさってください。

この記事でわかること
  1. 相続放棄を弁護士に依頼するメリット
  2. 相続放棄を依頼すべき弁護士の特徴
  3. 相続放棄を依頼するうえでの弁護士と司法書士の違い

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の遺産を一切受け取らないという意思を、家庭裁判所への申立てを通して法律的に表明する手続です。
資産(預貯金や土地などプラスの財産)だけでなく、負債(借金やローンなどマイナスの財産)もすべて相続しないことになるため、借金の責任も負わないようにすることができます。

相続放棄にかかる費用

相続放棄の手続にかかる主な費用は以下の通りです。

  1. 申立手数料
    相続放棄の申述を家庭裁判所にする際の費用で、通常は800円の収入印紙が必要です。
  2. 郵便費用
    裁判所からの連絡や書類の送付に使用されるため、数百円程度の郵便切手が必要です。
  3. 書類取得費用
    被相続人や相続人の戸籍謄本や住民票などの取得費用で、1通あたり数百円から1,000円程度かかります。

ただし、相続放棄を弁護士に依頼する場合は、上記の実費(申立手数料、郵便費用、書類取得費用)に加え、手続を代行してもらうための弁護士費用も発生します。

相続放棄の注意点

相続放棄を行う際には、いくつかの注意点があります。
まず、一度相続放棄が受理されると、その決定は撤回できません。そのため、慎重に検討する必要があります。相続放棄を行った場合、その人に代わって次の順位の相続人(たとえば、父母や兄弟姉妹 など)が相続権を持つことになります。

さらに、相続放棄の手続を進める際に、被相続人の遺産を使ったり処分したりすると、相続放棄が認められないことがあります。というのも、そういった行為は「相続を受け入れた」と見なされる可能性があるからです。
たとえば、被相続人の銀行口座からお金を引き出すことや、自動車を名義変更 することなども該当します。

相続放棄の手続の流れ

相続放棄の手続は以下のような流れで進行します。

  1. 被相続人が亡くなったことを確認し、相続放棄の意思を固める。
  2. 家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する。
    (申述書には、被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本などの必要書類を添付します)
  3. 家庭裁判所に申述書が提出 されると、裁判所から相続放棄の照会書が送られてくる。
  4. この照会書に回答し、再度提出すると、最終的に「相続放棄申述受理通知書」が送られてくる。

これで相続放棄の手続は完了となります。

手続の期限は3ヵ月

相続放棄の手続には、期限が設けられています。相続人が被相続人の死亡を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出しなければなりません。
もしこの期間内に相続放棄をしなければ、自動的に相続を承認したと見なされます。
仮に被相続人が1月1日に亡くなり、その日を知ったのが1月5日であれば、4月5 日までに相続放棄の申述書を提出する必要があります。

期限を過ぎると基本的には手続ができなくなりますが、特別な事情がある場合には家庭裁判所に期間延長の申立てが認められることもあります。この点についてはのちに詳しくご説明します。

相続放棄を弁護士に相談・依頼するメリット

相続放棄を弁護士に相談・依頼することで、多くのメリットがあります。
ここでは、以下のメリットについて詳しく見ていきましょう。

  1. 相続放棄を本当にすべきか確認してもらえる
  2. 相続財産の計算を手伝ってもらえる
  3. ほかの相続人とのやり取りや裁判所での手続を任せられる
  4. 期限を過ぎそうな場合でも手続できるように尽力してもらえる
  5. 債権者への対応を任せられる

①相続放棄を本当にすべきか確認してもらえる

「相続放棄をしよう!」と決める前に、弁護士に相談することで、相続放棄が本当に最適な選択かどうか確認してもらえます。
たとえば、相続財産の価値が負債を上回る場合、相続放棄をしないほうが有利な場合があります。この場合、「限定承認」という選択肢も考えられます。限定承認とは、被相続人に借金などのマイナスの財産がある場合に、プラスの財産の価額の範囲内でのみ引き受けるというものです。

それ以外にも、ほかの相続人との関係性などを加味したアドバイスなどがもらえるため、さまざまな観点から「本当に相続放棄をすべきか?」について判断できるようになるのです。

②相続財産の計算を手伝ってもらえる

相続財産の計算には、専門的な知識が必要です。弁護士に依頼することで、適切な専門家(不動産鑑定士や税理士など)と連携して正確な相続財産の評価を手伝ってもらえます。
たとえば、不動産の評価額や未払いの借金、隠れた負債などを正確に把握することができます。

これにより、相続放棄が本当に必要かどうか、またほかの選択肢があるかどうかを判断するための情報が得られます。自分だけで行うと見落としがちなポイントも、弁護士のサポートを受けることで、安心して手続を進めることができるのです。

③ほかの相続人とのやり取りや裁判所での手続を任せられる

相続放棄の手続は、ほかの相続人とのやり取りや家庭裁判所での手続が必要です。弁護士に依頼することで、これらの煩雑な手続をすべて任せることができます。
相続放棄は相続人各自が単独で行える手続ではありますが、実際には相続人同士で意見を一致させたうえで手続を進めていくことが望ましいといえます。弁護士に依頼すれば、相続人同士で意見が対立した場合でも、仲介役として調整を行ってくれます。

また、家庭裁判所での手続も弁護士が代行してくれるため、申述書の作成や必要書類の収集、提出、そして照会書への回答など、書類の準備や裁判所とのやり取りをスムーズに進めることができます。これにより、自分自身が手続に追われることなく、ほかの生活や仕事に集中できるメリットがあります。

④期限を過ぎそうな場合でも手続できるように尽力してもらえる

相続放棄の手続には期限がありますが、弁護士に依頼することで、期限を過ぎそうな場合でも手続ができるように尽力してもらえます。
というのも、相続放棄の期限である3ヵ月以内に相続財産の調査が終わらず、相続放棄をするかどうか決めかねているような場合でも、 特別な事情がある場合には、家庭裁判所に対して理由を説明し、「熟慮期間の伸長」を申立てることが可能だからです。

ただし、熟慮期間の伸長は、期限までに相続放棄をするかどうかを決められない理由を裁判所が納得できるように説明する必要があります。そのため、そういった対応に不慣れな一般の方が行うよりも、弁護士に依頼したほうが認められる可能性が高いのです。

⑤債権者への対応を任せられる

相続放棄をする際、被相続人に対して債権を持っている人たち(債権者)への対応も重要です。弁護士に依頼することで、債権者への対応も任せることができます。
たとえば、債権者からの請求に対して適切に対応し、法律に基づいた説明を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、債権者との交渉や書類のやり取りも弁護士が代行してくれるため、自分自身が直接対応する必要がなくなり、安心して手続を進めることができます。
特に、債権者とトラブルに発展しそうな場合や、複数の債権者が関与して複雑な状況になっている場合は、一般の方だけで対応するのは難しいといえるでしょう。

相続放棄を依頼するなら弁護士?それとも司法書士?

弁護士と司法書士では、対応できる内容に大きな違いがあります。
まず弁護士については、相続放棄に関するすべての手続を代行できるだけでなく、ほかの相続人や債権者との交渉、裁判所での手続も行えます。
一方、司法書士は、書類の作成や基本的な手続のサポートに長けている反面、交渉や裁判所での手続は行えません。

そのため、相続関係が複雑で手続に不安がある場合や、ほかの相続人とのトラブルが予想される場合などには、弁護士に依頼するほうが適しています。

相続放棄を依頼すべき弁護士の特徴

相続放棄を依頼する弁護士を選ぶ際には、下記のような特徴を確認することが重要です。

・相続に関する知識や解決実績が豊富
・ほかの専門家(税理士や不動産鑑定士など)と連携してくれる
・明確な費用体系を示している
・不利な情報も正直に伝えてくれる
・些細なことでも相談しやすい

上記の特徴を満たす弁護士であれば、安心して相続放棄を任せることができるでしょう。
逆に少しでも不安な面があれば、ほかの弁護士の話を聞いてみるのも、有効な選択肢となります。
一度依頼をしてしまえば、途中で別の弁護士に変えるのは手間も費用もかかりますし、手続にも時間がかかってしまうからです。本当に自分が納得のいく弁護士に依頼することをおすすめします。

相続放棄をアディーレに依頼するメリット

アディーレ法律事務所では、相続放棄のご相談・ご依頼も積極的に受け付けています。
ここでは、アディーレに相続放棄を依頼する以下のメリットについて詳しく見ていきます。

  1. 面倒な手続やほかの相続人とのやり取りを任せられる
  2. 次の相続人や債権者への連絡を代行
  3. 相続放棄が難しい場合でも債務整理で対応

①面倒な手続やほかの相続人とのやり取りを任せられる

アディーレに相続放棄を依頼すると、面倒な手続やほかの相続人とのやり取りを任せることができます。
たとえば、相続放棄申述書の作成や家庭裁判所への提出、ほかの相続人との調整など、一般の方が行うには難しい手続を弁護士が代行してくれるのです。

またアディーレには、相続に関する幅広い知識を有した「相続診断士」の認定を受けた弁護士や事務員が在籍しています。そのため、手続に不慣れな方が自分で行うよりも、スムーズに手続を完了させることができるのです。

②次の相続人や債権者への連絡を代行

相続放棄をする際、次の相続人や債権者への連絡も行っておいたほうがよいです。アディーレに依頼すると、そういった連絡も代行してもらえるため、手続が円滑に進みます。
具体的には、次の相続人に対して相続放棄の意向を伝えることや、債権者に対して相続放棄の事実を通知することなどが含まれます。

特に、トラブルに発展しそうな親戚や債権者がいる場合、交渉経験が豊富な弁護士が代わりに連絡することで、トラブルを未然に防ぐこともできるでしょう。

③相続放棄が難しい場合でも債務整理で対応

何らかの事情によって、相続放棄が難しい場合、故人の借金などを引き継ぐことになってしまいます。
そういった状況になった場合、アディーレでは「債務整理」という選択肢をご提案し、対応することができます。債務整理とは、法律に基づいて借金を減らしたり、月々の返済が楽になったりする手続のことです。

アディーレには債務整理の豊富な実績があるため、1人1人のご状況に合わせて最適な手続を行うことができますし、借金などの負担を軽減できるように尽力します。

相続放棄でお困りならアディーレへ

ご説明してきたように、相続放棄の手続を弁護士に依頼すると、さまざまなメリットがあります。
しかし、一度依頼をしてしまうと、依頼を取り消したり、別の弁護士に変更したりするのは簡単ではないため、事前に十分な検討が必要になります。

アディーレなら、相続放棄のご相談は何度でも無料です。些細なことでも気軽にご質問いただけます。
また独自の「損はさせない保証」により、ご依頼いただいたにもかかわらず成果を得られなかった場合、原則としてお客さまの経済的利益を超える費用をお支払いいただくことはありません(※)。

相続放棄を弁護士に依頼しようとお考えなら、ぜひ一度アディーレへご相談ください。

  • 委任契約の中途に自己都合にてご依頼を取りやめる場合、成果がない場合にも解除までの費用として、事案の進行状況に応じた弁護士費用等をお支払いただきます。
橋 優介
この記事の監修者
弁護士
橋 優介
資格
弁護士、2級FP技能士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部

弁護士の職務として特に重要なことは、「依頼者の方を当人の抱える法的問題から解放すること」であると考えています。弁護士にご依頼いただければ、裁判関係の対応や相手方との交渉などは基本的にすべて弁護士に任せられます。私は、弁護士として、皆さまが法的な心配をせず日常生活を送れるように、陰ながらサポートできる存在でありたいと考えています。

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