遺言・遺産相続の弁護士コラム

親に終活をすすめる自然な切り出し方と進め方|法的リスクを防ぐコツを弁護士が解説

「親に終活をしてほしいけれど、どう切り出せばいいかわからない」と悩む方は少なくありません。しかし、親の終活を後回しにしてしまうと、将来的に認知症による「資産凍結(銀行口座が使えなくなること)」や、親族間での相続トラブルといった、思わぬ法的リスクを招く可能性があります。

本コラムでは、親御さんの気分を害さずに自然に終活の話を始めるコツや、最低限確認しておきたい資産・医療のチェックポイントを分かりやすく解説します。
また、親御さんがなかなか首を縦に振ってくれない場合の対処法や、法的な効力を持つ「遺言書」の活用法など、円満な解決へ導くためのステップをまとめました。

ご家族の未来と安心を守るため、今からできる準備を一緒に考えてみませんか。

この記事でわかること
  1. 終活とは何か
  2. 親が終活をしていない困ること
  3. 親へ終活をすすめるやり方
目次

親の終活が必要な理由と放置することの法的リスク

親の終活は、いわば「家族全員の未来を守るためのバトンタッチ」です。なぜ今取り組むべきなのか、その背景と知っておきたいリスクについてお伝えします。

子どもが主導して進める「親の終活」が注目される背景

親御さんを見送った方の多くが、「もっと生前に話しておけばよかった」と感じているといわれています。
特に、認知症などで判断能力が低下してしまうと、銀行口座からお金を引き出せなくなったり、不動産の売買ができなくなったりする「資産凍結」のリスクが生じます。

こうした事態を防ぐための対策は、親御さんのお考えがしっかりしているうちにしか行えません。
今の時代、お子さんがサポートして進める「親終活」は、大切なリスク管理のひとつといえるでしょう。

終活をしないことで発生する「負の相続」や手続の停滞

終活をせずにいると、いざというときにいろいろな問題が発生する可能性があります。
たとえば、銀行口座が凍結されてしまって葬式の費用の支払いに困る、思いもよらない借金が見つかって本当に相続していいのか(相続放棄すべきなのか)悩んでしまう、といったことです。
また、空き家の処分や膨大な遺品整理など、お子さん世代に大きな負担がかかってしまうケースも少なくありません。
法的なトラブルを未然に防ぐためにも、早めに情報を整理しておくことが、ご家族の負担を減らすことにつながります。

親の気分を害さずに自然に話を切り出す5つのコツ

お金や将来のことは、親御さんにとってもデリケートな話題です。話題にすることへの心理的なハードルを下げるための5つのアプローチをご提案します。

「自分も終活を始めた」と相談する形で持ち掛ける

「お父さんも終活してよ」とすすめるのではなく、「実は私も将来のために整理を始めたんだけど、アドバイスをくれない?」と相談を持ちかけるのが効果的です。
親子で一緒に取り組む姿勢を見せることで、親御さんの警戒心を優しく解きほぐすことができるでしょう。

テレビの特集や知人のエピソードをきっかけにする

「昨日、テレビで終活の特集をやっていたよ」「友達が親の相続で大変だったみたいで……」など、世間一般のニュースを話題にしてみましょう。
ほかの方のエピソードをきっかけにすることで、親御さんもご自身の問題を客観的にイメージしやすくなります。

将来の不安ではなく「今を楽しく過ごすため」と伝える

「死への準備」と捉えると暗い気持ちになりますが、「これからの人生をもっと安心して楽しむための整理」だと伝えてみてください。
誰しもやがて訪れる「死」は避けられませんが、その不安を煽るのではなく、ご家族が笑顔で過ごすための「ポジティブな目標」として共有することが大切です。

親の「これまでの人生」や「好きなもの」への興味から広げる

これまでの思い出話や趣味の話題など、親御さんが楽しく話せることから始めてみましょう。「大切にしているコレクションはどうしたい?」「昔お世話になったあの人への連絡先は?」と、思い出に寄り添いながら少しずつ情報を整理していくのがコツです。

法要や帰省など親族が集まるタイミングを活用する

お盆や年末年始など、親族が集まる機会は絶好のタイミングです。ご家族全員で情報を共有する場を作ることで、親御さんも「みんなのために、自分の意思を伝えておこう」という責任感を持ちやすくなることが期待できます。

親の終活で最低限確認しておくべき重要項目

何から手をつければいいか迷ったら、まずは以下の優先順位の高い項目から確認を進めてみましょう。

最優先で把握したい銀行口座と不動産の権利関係

どの銀行に口座があるのか、不動産の名義はどうなっているのか、といった情報は相続において極めて重要です。わからないと探すのに時間と労力がかかります。
また、プラスの財産だけでなく負債の有無も確認しておくことが、後の大きなトラブルを回避する第一歩となります。

意思疎通が難しくなる前に聞くべき介護・医療の希望

万が一、意思疎通が難しくなった時に備えて、どのような介護を受けたいか、延命治療はどうしたいか、といったご本人の希望をあらかじめ聞いておきましょう。
かかりつけ医や普段飲んでいる薬の情報を共有しておくことは、緊急時の安心にも直結します。

デジタル遺産や交友関係の連絡先リスト

スマートフォンやパソコンのロック解除、SNSアカウントなどの「デジタル遺産」の整理は、現代では欠かせません。
また、お友達や親戚の連絡先リストを作っておくことで、万が一の際の連絡漏れを防ぎ、ご家族の不安を軽減できます。

葬式の形式とお墓の管理に関する本人の意向

「どんな葬儀にしたいか」「お墓をどう管理してほしいか」といった宗教観に関わることは、あとから親族間で意見が分かれやすいポイントです。
事前にご本人の希望を聞いておくことで、周囲も迷わずにお見送りすることができるでしょう。

親が「終活しない」と拒否する場合の対処法

もし親御さんが否定的な反応をされた場合は、無理に進めるのは禁物です。少し視点を変えて寄り添ってみましょう。

無理強いせず「子どもの心理的・経済的負担」を理由に話す

「親御さんのため」ではなく、「私(子ども)が将来困らないように助けてほしい」というスタンスでお願いをしてみてください。親御さんが「子どものためなら」という愛情から、準備に前向きになってくれるケースもあります。

一度にすべて進めず、身近な物の「断捨離」から始める

重い話題は一旦置いておき、「片付けを手伝うよ」と身近な不用品の整理から始めてみましょう。身の回りがスッキリすることで、心にも余裕が生まれ、少しずつ情報の整理にも意識が向きやすくなることがあります。

エンディングノートと遺言書を賢く使い分けるポイント

終活のツールにはそれぞれ得意分野があります。目的に合わせて使い分けましょう。

親の想いを自由に綴り家族へ共有するエンディングノート

エンディングノートは、希望や思い出、家族へのメッセージなどを自由に書き残せるツールです。法的な効力はありませんが、日常的な情報(ペットの世話や連絡先、口座のある銀行など)から、緊急時の医療措置やお墓の希望などさまざまな希望を共有し、ご家族の絆を深めるのに適しています。

法的拘束力を持ち親族間の争いを防ぐための遺言書

遺言書は、自分の死後、自分の残した遺産をどのように分けるのか、その法律関係を明確に意思表示することができる文書です。
親族間の紛争(いわゆる「争続」)を防ぐためには、自筆証書遺言や公正証書遺言など、法的に有効な形式で作成しておくことが非常に重要です。

遺言書の種類や、注意すべきポイントについては、次の記事をご覧ください。

弁護士に相談して「法的に有効な備え」を完成させる

ご自身の想いを大切なご家族に届け、「争族」を防ぐためには、弁護士への相談が安心です。弁護士が関わることで、遺言書作成にかかる形式的なミスを防いだうえで、ご本人が望む円満な相続の形を一緒に模索することができるでしょう。

親の終活は、資産凍結や相続紛争といった将来のトラブルを未然に防ぐための、大切な「守り」です。まずは「自分も始めたから」と軽く相談することから始め、親御さんの想いを丁寧に汲み取っていきましょう。
もし拒否されても、お子さん側の負担を理由にするなど、焦らず寄り添うことが大切です。特に、法的な効力を持つ「遺言書」は、ご家族の絆を守る強力な手段になり得ます。

遺言書の作成など、法的な面で少しでも不安がある場合は、アディーレ法律事務所へご相談ください。ご相談は何度でも無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

橋 優介
この記事の監修者
弁護士
橋 優介
資格
弁護士、2級FP技能士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部

弁護士の職務として特に重要なことは、「依頼者の方を当人の抱える法的問題から解放すること」であると考えています。弁護士にご依頼いただければ、裁判関係の対応や相手方との交渉などは基本的にすべて弁護士に任せられます。私は、弁護士として、皆さまが法的な心配をせず日常生活を送れるように、陰ながらサポートできる存在でありたいと考えています。

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